白山 加賀禅定道から楽々新道

  

 真っ暗での山歩きは怖い、しかも雨降りならなおさら。古の道は修行の道だった。

 白山を加賀禅定道から歩きてきた。同行は野人先輩。

 登山口のハライ谷は、路肩が工事関係車両の転回場になっていたので、県道入口に駐車して歩く事にした。出発は朝4時。昨夜からの雨が少し残っていたが、合羽を着るほどではなかった。ラテルネの灯りを頼りに濡れた山道を歩いた。

 地図から分かる通りの急登の連続で汗とため息が出た。薄明るくなってしばらく、下方から単独の方が駆け上ってきた。とても速かった。快活な挨拶と共に風の様に登っていった。

 その後も3人に抜かされた。この道を歩く人はかなりの健脚者ばかりのようだ。

 しかり場分岐で時間を確認した。地図のコースタイムと変わらない時間だった。今まで歩いた山は、頑張ればコースタイムの8掛で歩けたのだがこのお山は違った。

 雨は消えたが、ガスが太陽を覆い歩きやすい天候だった。こまめな休憩をいれながら、高度を上げた。

 美女坂の頭までは、ぬめった急登が続き、かなり体力を消耗した。心肺ではなく、足の筋力不足を強く感じた。時間の計算をすると、白山の頂上方面へ行くことは難しくなってきた。先輩と相談して、とりあえず七倉山分岐を目指すことにした。

 今回見たかった景色に百四丈の滝があった。展望台に立つと、ガスの切れ間から辛うじてその姿を遠望する事が出来た。大地を侵食して流れ落ちる白い水柱は、疲れを忘れさせてくれた。



 標高が2000mを越えると雰囲気も良くなってきた。高山の風を感じる事が出来る様になった。天池石室跡では昔の人々の信仰心と惜しみない労力を感じた。

 緑の山肌を縫う様に続く踏み跡。湿原の木道。人もいない静かな山。身体は疲れていたが、気力は復活していた。



 長い坂道を登りきると北竜ケ馬場。そこから少しで七倉山分岐だった。ここで時間は13時半だった。頂上方面に向かうには時間が無い事は明白だった。今回はこの地点を折り返し地点にすることにした。



 下山は岩間道から楽々新道。加賀禅定道とは違い急坂は少なかったが、中々高度を落とさない道に驚きを感じた。「最後に2000mくらいの懸垂下降があるのでは・・」と先輩と言いながらひたすら歩いた。

 途中の避難小屋周辺には湿原があり、名前の知らない花が咲いていた。もう少し季節が進むと紅葉となり、さらに美しくなるだろう。

 楽々新道は楽々の様で楽々ではなかった。草に隠れているが、切れ落ちた斜面とぬるぬるの土道に滑る木の根が足元を危うくする。登りでは気にならないかもしれないが、下りでは結構リスクを感じた。

 頑張って歩き、何とか明るいうちに登山口の林道に降り立つ事が出来た。一服していると熊鈴の音と共に一人下りてきた方がいた。朝会ったトレランの方だった。私たちと同じコースなのだが、室堂まで行ってきたとの話だった。何とも素晴らしいスピードだ。明日も荒島岳を登りに行くとの話だった。

 最後に林道と県道を繋いだ散歩が本日の締めとなった。車まで1時間半。真っ暗の舗装道をラテを頼りに黙々と歩いた。人間疲れ果てると無言になるのね。

 よくやく車に到着したは19時半過ぎだった。先輩とがっちり握手してフィニッシュとした。

 白山はとても大きな山だった。改めて畏敬の念を感じる。体力不足など反省の点は多々あるが、またその懐で遊ばさせてもらいたいと思っている。






 



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