休息後に移動してJ山へ。ここは石切り場跡の小さな岩場だが、その一角に一匹の小さな竜が閉じ込められている。それが「山嵐」だ。
段々状の岩で1階はスラブボルダー、2階の前傾壁に走るクラックが「山嵐」。開拓者は四太画伯。高さは無いが、落ち方を間違えるとちょっと痛い目に合いそうだ。
移動後すぐにパイソンが動き出した。「山嵐」の下にあるボロいワイドクラックを静々と登ってしまったのだ。二手くらいしか楽しめないとの弁だったが、脆くても濡れていても汚れていても隙間があれば幸せなのだろう。課題名はと問うと「これですか?」と返答された。なので「これですか」にしておこう。
時間もあまりないので三人で「山嵐」にトライをする事にした。しくじると岩棚下まで転げ落ちるので、マットの配置にも注意が必要だった。ここはカッパ先生がてきぱきと指示をして万全の準備が出来た。
先生、1回目のトライで抜けのガバまで到達。下部クラックはジャムがよく効き無問題みたい。良い予感がするゼ。パイソンも同じ感じだった。私はリーチを出すムーブで足が抜けて、無意味に体幹の力を消費してしまった。
2回目は皆1回目と変わらない出来だったが、3回目のトライで先生が妖怪パワーを炸裂させた。抜けのガバから脆そうなリップに手を出してそのままトップアウトしてしまった。カッパが竜に乗って天に昇った瞬間だった。これはリアルまんが日本昔ばなしだ。
先生の力量から予感はあったが、あまりに早い完結に私はパイソンと一緒に思わず歓声をあげた。本当は「チッ登ってしまったゼ。」と心の中でつぶやいた事はここだけの話である。
短いがパワーの消耗も激しいので、軽食を取りながら短い休憩。パイソン用の高級パン(先生購入品)を気づかれないように、つまみ食いしながら体力の回復に努めた。人様の飯は美味い。
そうこうするうちにM坂さんが心配をして見に来てくれた。やはり良い漢だね。
夕暮れが近くなってきたので、最後のトライをする事にした。鋭気は十分十二分のつもり。ジャムの効きも文句なしだった。スタートから遠い左手を取り、ハンドジャムの切り返しで体勢を整える。左でガバをキャッチして右手をアンダー気味のジャム。抜けガバへデッドする。今まで一番良いかかりを感じた。さらにリップ部をまさぐるが、確信を持てるホールドを見つける事が出来ない。そうのうちに力が尽きてしまった。フットジャムを解除してマットに下りた。残念だが、私には竜を目覚めさせる事は出来なかった。昔ばなしは次回までおあずけさ。
パイソンもあと一手まで迫ったが、これまた敗退してしまった。最後がフェースムーブなので、変態的パイソンには苦しい箇所なのだろう。
結局、完登はカッパ先生のみ。今日、目覚めた竜も一匹のみの結果だった。だがとても面白かった。フェースもスラブも面白さはあるが、なんと言ってもクラックが一番面白い。こんな素敵な課題を整備してくれた四太画伯に感謝しながら岩場を後にした。
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