静かな藤内でスパイシーオレ!

 

 この前登れなかった「ヘルタースケルター」のムーヴを確認したくて雲中の藤内壁に上がった。

 岩場はガスの中なので木や笹もベタベタ。「モンキーバック」下に到着するとズボンもベタベタに濡れてしまった。

 ツルムにあがるルンゼも岩がヌルっていて、登る事を躊躇してしまった。仕方ないので中尾根の取り付きに懸垂で下りて、そこから回り込んで岩塔トップからショート懸垂をして、何とか「ヘルタースケルター」にTRをセットする事が出来た。懸垂で偵察すると、幸いなことに登るべき岩は比較的乾いていて、何とかなりそうだった。ただ時間はもうお昼を回っていた。

 一壁にいるS崎さんからは下山するのコールがあった。今日を含めて三連登なんて驚異の70代です。

 ご飯を食べるとマッタリ気分になってしまうので、準備をしてまず1本登ってみた。流石にクラック内部は湿気っており、乾いていれば誤魔化すことが出来るシンハンド部もシビアに感じた。なんだかんだで最後の核心部分に到着。ムーヴとプロテクションをアーデモナイコーデモナイと考えた。細いフィンガークラックに右手を差し込めれば何とかなるが、その何とかまで到達出来ない。結局チョンボして抜けた。何とかならないけど腹は減った。

 「モンキーフェイス」の取り付きでランチ。一壁に数パーティいるだけの、静かな岩の殿堂の端っこに一人腰かける。南風が少し向こうで雲に変わっていく。近くの木に小鳥がやってきて、さえずっては去っていく。鳥みたいに上手にハミングは出来ないな。

 辛ラーメンの空カップでカフェオレを飲んだら、スパイシーなオレになってしまった。でも山ならば何でも美味いす。

 ランチ後の2回目。左手が攣ってしまい、左足が痛い。核心までは苦行だった。チョンボ無しで何とか抜けるべく、灰色の脳細胞をフル回転させた。今までと違いポケット状と右フレークを使って体勢を考えみた。足の踏みかえも重要。スパイシーオレの影響か何とかなりそうな雰囲気。閃いた、諦めなければ何とかなる事もある。フィンガーチップのレイバックが鍵だった。






 何とかなりそうな感触を得たので、2回で試登は止めておいた。スタイルとしてはよろしくないが、私の力量では、リードしながらのムーヴの組み立ては、出来なかったと思う。

 まだ時間があったので、難しくなった「モンキーフェイス」で遊ぼうかとも思ったが、大人しく下山する事にした。ちょっと足りないぐらいが、おじさんの体には優しい頃合い。

 藤内から登山道におりても歩く人もおらず。道沿いのボルダーをひやかしながら、木苺を摘んだ。口に種が残るけれど、初夏の足音と思えばそれも楽しい。

 悪天だったが、岩に触る事が出来て良き日でした。






 


コメント