土曜日。ともちゃんにピックアップしてもらい藤内へ。岩も山もベストシーズン、沢山の人が朝早くから山に入っていた。
今回は私のお願いを聞いてもらい、モンキー辺りまで上がる事にした。ロープとカムの重荷に「荷物が重てーだ。」と、とも先輩は嘆いていた。語尾が「だ」なんてどこの出身なのでしょうか?
ついこの間まで暑い暑いと言っていたのが嘘の様に、山の上は葉が色づき、秋の装い。見とれて足を止めてしまいそうになる。
そんなこんなでも、歩き続けてモンキーの下に到着した。
岩はひんやりとしていてフリクションも良し。1年に数日しかない、登るしかない日の到来だ。壁に生えている灌木も赤や黄色に染まり、線香花火の様。秋のパレードがあちこちで始まっていた。
まずアップとして「展望クラック」を登った。簡単な下部をこなしてテラスへ。ここでピッチを切ったのが間違いだったか、上部クラックでテンションを入れてしまった。このクラックも短いが侮れなかった。ハンドジャムは良く効くが、中が広がっているので、カムが開いてしまいそうで怖かった。かなり必死で登った。腕がパンパンになった。
フォローでとも先輩。荷物を荒らすカラスと会話しながら登ってきた。奴と奴の間では、何となく意思が通じるらしかった。
そして今日の本命「ヘルタースケルター」にトライした。忘却力全開なので、一発目はTRであれこれと思い出す。夏以降の長雨の影響か、夏前に初トライした時と違い、ルート下部は薄く緑色に染まっていた。カムセットの予習復習をしながら登った。アップじゃないアップの影響かTRでもしんどかった。
カラスと会話する先輩は、自分でムーブを組み立てて登っていた。核心手前でニーバーが効くらしく、私とは違うムーブだった。カラス先輩流石。
昼飯を食べてからリードしてみた。難しくは無いが気の抜けない下部を通過。細かいカムが結構有効だった。意識してシェィクの回数を多くした。核心手前のハンドクラックとアンダーガバに#2をセット、右手フレークで伸びあがり、シンクラックにトーテムの#0.5を入れた。少し下りて体勢を整える。ここからは一気に登った。ハンドジャムが効き、最後のガバに手が届いた時には、「ホヘー」と声が漏れてしまった。
夏前からの宿題、そして38年前の忘れ物を回収出来た。タイムカプセルを掘り起こした気分だ。
締めにP7で登ろうとテスト岩まで下りると、とも先輩はそのまま登山道に向かって足を進めた。登らないの?と問うと、「もう足腰が限界ですだ」と返事が返ってきた。かなり無理をして今回も付き合ってくれた様だった。ありがとうすいません。今度は奥又へ行きましょう。
薄暗くなってきた山道を歩き、登山口まで戻ると、前方からヤバイ風体の人が手を振りながら歩いてきた。知らないふりをするかどうか迷ったが、近くまで来てようやくヤバイ風体のカッパ先生だと気が付いた。しかも一緒にいるのは定番のエリリンではなく、熊野の美人人妻ではあーりませんか。
聞くところによると、今夜は藤内小屋で旧知の仲間と親睦会を行うとの話だった。やはり先生顔が広い。毛は薄いけど。
先生と別れた後、とも先輩が一言。「ザックの中に一升瓶が入っているんだど…たぶん」それなら親睦会ではなくランチキパーティですねきっと。
私たちが車に到着しても、スカイラインにはまだ沢山の車があった。皆さん目一杯秋の山を楽しんでいるのだろう。
町に下りてザックを背負って自転車に乗った。気が付けば街路樹も黄色に紅葉していた。
身体は老いるばかりだけど、一瞬だが心が少年の頃に戻る時がある。そう確かにある。だからクライミングは最高だ。
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