親分クラックロック

 

 ある日、泣く子も黙る親分から一枚の写真が送られてきた。それは一条のクラックが走る岩の写真だった。と同時に短い文章が、「いい岩見つけた。登りたいなら顔貸せ」

 選択の余地は無い、行くしかないでしょう。ガタガタガタ…。(ビビッて体の震える音)

 某日、指定された場所は、私も今まで行ったことの無かった山深い場所だった。親分とNすけペアと合流して、さらに手入れの行き届いていない旧道に車を走らせた。

 峠に車を停めて歩き出す。アプローチは、荒廃した林道を10分ほど。あまり岩の雰囲気も感じられない場所に突然1個の岩が現れた。近くに、張り紙があり、罠にクマが捕まったけど放したよ…などと書いてあった。

 クラックは写真より美しかった。岩質は花崗岩。サイズからすると、ボルダーサイズだが、下地が斜面になっており、ショートルート若しくはトップロープの課題としてみる方がよさそう。メインの岩の他に遊べそうな岩が1個2個あった。

 クラックは練習に適当な、ハンド、ワイド、フィンガーの3種類。岩の天辺に回り込むと、苔むしたスラブに古いリングボルトが2本打ってあった。過去のクライマーからの置手紙だと思われる。

 まずハンドをTRで登った。クラックはハンドとフィストの中間くらいのサイズだった。TRだけではもったいない。カムも持参しているし、折角なのでリードで登ってみた。

 下部は簡単。抜け部を緩いハンドでこらえて手を伸ばすと、ガバを掴む事が出来た。楽しいな~。


 

 お次はワイドを登った。親分はクラックのエッジを使ったムーブ構成。埃まみれで粉っぽい割れ目に苦闘しながら上に抜けた。「男はエッジやで」肩で息をしながら一言。

 私はクラック主体で登ったが、これまた面白かった。弱点をつけばダイナミックな登りが出来る好課題。

 隣のフィンガークラックはかなり難しかった。私は登る事は出来なかったが、親分が気合で登ってくれた。レイバック主体でかなりパワフル。これまた良い課題。

 Nすけはワイドとフィンガーを連続トライした。ワイドはあと一歩の箇所まで到達したが、フィンガーはズタボロ。クラックに擦れてシャツもボロボロ。ユニクロではなくお高いシャツだったのでお財布もボロボロ。男もつらいが女もつらい。





 最後はハンドとワイドの間にあるカンテを触った。これは難しく、誰も完登出来なかったが、パワーとバランスが必要な感じだった。




 16時ごろまで遊んで帰路についた。小さな岩で、大の大人が1日遊ぶ事が出来るのもクライミングの素晴らしい部分だ。

 宿題も残っているし、また機会があれば訪れてみたい。親分、Nすけありがとう。









 

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