ミリンダ

 

 山嵐を目指し、かの地へ赴くも、山は雪まみれだった。仕方がないので回れ右をしてみたが、どこもかしこも山は冬山、雪の山。

 鬼が牙が岩肌を見せていたので、一縷の望みを抱いて石水渓へ向かってみた。

 谷に入ると、やはり雪が岩を隠していた。しかも路肩の駐車スペースはテープで封印されていて、車を停める事も難しい状態だった。ここで遊ぶのなら、望仙荘あたりの駐車場か、上流まで抜けて道幅が広がった個所を使うしかない。

 「アナザーワールド」なら着雪もない様に思えたが、ソロでトライする気合と装備も持ってきていなかったので(特に気合ね気合)、大人しく谷を下る事にした。

 このまま帰るのはつまらないので、最後の望みと思い、石谷川へ尾根を乗り越す所にあるボルダーをのぞいてみた。幸い辺りに雪は無く、岩肌の濡れも少しの様に見えた。今日はこれしかない。

 午後からは雨予報、しかも中々の濡れ汚れ具合の岩。迷わず一人トップロープでの掃除クライミングをすることにした。

 懸垂で掃除すれば良いものの、そこは少しの楽しみも欲しかったので、下から攻める事にした。まず登りやすそうな右側のラインをやってみた。苔を剥がし、苔を剥がし、泥を跳ね除け岩肌を出す。ここら辺りにしては良い岩質だが、そこもかしこも濡れ放題。ガバを握ると涙がでちゃう。

 右側のラインはおそらく5級くらいか、ガバから簡単なスラブへつなぐ課題。乾いていれば、そんなに難しくはない感触だった。

 真ん中も触ってみたが、これはスタートからけっこう厳しかった。泥の詰まったカチと苔で緑色のスローパーの処理が難しいと思われる。でも右より面白いかもしれない。

 左側はドスラブなので今日は止めておいた。

 天気予報は正確だった。昼を回ると雨が降り出した。このボルダーは杉林の中にあるが、少しづつ雨に濡れだした。初めから濡れていたけど。

 岩の下を見ると古いジュースの空きビンが転がっていた。透明なガラスにMのマークが見えた。たしかこれはミリンダのビンのはず。

 仮称「ミリンダ」の岩。誰にも顧みられない小さな岩。今日もまたちっぽけなクライミングをかましてしまったゼ。










 





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