OLD GOLD TOURS 西の大岩

 

 オールドさん主催の「OLD GOLD TOURS」にお誘いをいただいた。DEEPなDEEPなSIGAROCKへのお招きだった。参加者は主賓のオールドさんとカリメロと私の計3名。少人数の方がしみじみと岩を味わえるのだ。

 記念すべき第一回目の今回は、「西の大岩」と呼ばれるボルダーで行われた。岩は湖水を指呼に出来る里山の山頂近くにあった。

 「西の大岩」は確かに大きな岩だった。開拓が始まったばかりなので、「ルリタテハ」という課題が1本あるのみで、私のぼんやりした眼でも、まだ幾つかの課題が出来る可能性を秘めた岩だった。

 準備しながら「四太画伯のいない今、私の開拓友達はこれです」とオールドさんが取り出したのはMベルのラヂオ。聞くと所によると色々なギミックが盛り込まれた優れものとの事だった。「そしてラヂオからは私の魂の歌が流れてくるのです」スイッチをONすると聞こえてきたのは、「隣のトトロ、トトロ、トトロ、トトロ…」。クライミングに大切なのは、いつまでも清い心を持ち続けることなのですね。

 開拓に必要なのは、まず掃除。大岩もまだ掃除が完璧ではないので、アップがわりにロープにぶら下がってクリーニング。ワイヤーブラシで土とトトロの毛皮みたいな苔を落とした。トトロごめんなさい。

 綺麗になったスラブにカリメロが一本課題を作った。シットスタートから渋い乗り込みが光る。課題名「美しい脚」。カリメロは柔軟な動きで、スマートに登ったが、私はカチカチと刻んで登るしか出来なかった。どうせ体の硬いおっさんですよ、ほっといてくれ。




 そして「美しい脚」の右カンテをオールドさんが登り「マタギ」と名付けた。これまた渋い。私も頑張ったが、カンテ側面へ体をうまく滑り込ませることが出来なかった。難しいよこれ。課題名はカリメロ持参の尻皮から。純正の狸の毛皮らしく、山歩きには中々の優れもの。お尻がほんのりと温かく、地面に座り込んでもバッチグー。オールドさんが装着するとリアル山の本職。すいません阿仁のマタギですか?

 大岩の正面は高さもある。左端にあるハングからシットスタートする課題もオールドさんが初登した。「Butterfly effect」。右手ハンドジャムからスタートするのだが、テープ無しでトライしたら、甲の皮がけっこう剥けてしまった。少し遠いホールドを取りに行くムーブが、私には出来なくて、これも登る事は出来なかった。体幹の強さがないと、腕力をセーブ出来ずにムーブがつながらない。これも好課題である。




 この岩での本命は「ルリタテハ」の左にある未登ライン。微妙に膨らんだフェースを顕著なカチから意味不明のスロピーなホールドへ繋いでいく。オールドさんが手を変え品を変えて猛トライをしたが、完成ならず。かなりの難度らしい。ただ不可能な感じではないらしい。お楽しみは次回へと続く…のだ。




 よい時間になったので、「鬼虎魚」のあるエリアに移動した。カリメロは一目見るなり、おもむろに靴を履き替えた。そりゃそうだ、クラック好きなら涎が垂れる好課題だもの。最近スタート位置が移動して、さらにタフになったらしい。涎とか他を垂れながらカリメロがトライ。延長されたスタート部は無理なものの、ルーフクラック部は涙物で喜んでいた。またの機会に完登を狙おう。


ウヒヒ涎もんだぜ

あかん俺もう寝る


 このエリアにはルートの岩もあり、マジで一日以上遊べる場所だった。但し若干の掃除が必要であるけど、好き者なら関係ないネ。

 「OLD GOLD TOURS」第一回だった今回。改めてSIGAROCKの奥深さを思い知らされた。既存のルートを辿るだけのクライマーには分からない世界がそこにはあった。近日中に第二回、第三回と催されるらしい。

 帰りの車から、東の山が夕日で赤く染まるのが見えた。一番美しいのは一瞬。瞬きする間に過ぎていく。今日の岩も今日だけの岩。万年弱弱クライマーなれど、岩に取りつく一瞬を大切にしたいと思いながら家へ帰った。










 

 

 


 

 


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