藤内小屋で小休止をしてから岩場に向かったが、現地には私たち以外は誰もおらず貸し切りだった。
まずは「三毛猫」周辺でアップした。岩は久しぶりのカリメロはピーピー言いながら登っていた。
体がほぐれたのか疲れたのか分からないが、本日の本命、宿題ワイドクラックにトライする事にした。岩は完璧に乾いているし、キャメロット#6を持ってきたので妙に登れる自信があったが、いざ取付いてみるとすぐさまに腹筋が悲鳴をあげ始めた。左壁が被ってきているからなのか、窮屈でしんどい。途中のポケットにある小さな水晶をホールドにしてバランスをとり、かかりの良い岩角をまさぐる。右壁は傾斜も強くフリクションもあまりない。必死で上昇してチョックストーン下にハンドをきめると少し心が落ち着く。ただ核心はここから。チョックストーンが形成している小ハングを越えるムーブが一ひねりある。
手を入れる位置に邪魔なカムを入れてしまい四苦八苦、全身の力が吸い取られてしまう。なんとかジャムでこらえてリップに手が届いたが、パーミングで押さえ込む力が残っていなかった。悔しいがテンションし、ロワーダウンをした。何とも我ながら忘却能力の向上にはあきれるゼ。
前腕もパンプし、しばらくは呼吸も苦しくて、咳込みながら会話することしか出来なかった。
丁度昼時だったので、手作りランチを食べて休息した。そのうちカリメロが怪しい動きをし始めた。何事かと見守っていると、ジャンジャジャーンと焼き目のついたパンを取り出してきた。具材はハチミツと金柑のジャムとクリームチーズのホットサンド。おっしゃれ~。
おすそ分けをいただいたが、こんなハイカラで美味しいご飯を山で食べたの初めてよ。本人曰く「女子力はかなり高い」らしいが、私感では漢力も高レベルだと思われ。
食べながらバカ話をしていると、時折、天まで届く様なカリメロの笑い声が炸裂した。微かに岩が振動してクラックの幅が数ミリ広がったのではと思えるぐらい。奴も色々あった様だが、御在所に帰ってこれてよかった。笑う門には福来る。笑うクライマーにも福が来るだろう。
元気をもらい2トライ目、ただカムを残してますけど。
ずり落ちそうな下部をこなし、チョックストーン下へ。息があがりそうだったが、カムが残置されているので、1トライ目と全く違う。ジャムする位置も修正して右手をリップへ飛ばした。余力があるので微かなくぼみでも止めることが出来た。チョックSへ上がりテラスから快適なスラブを登ると灌木に作った終了点に到着した。
ピンクポイントだが一応の完成とした。ルート名は「ミルクティース」、グレードは5.9か10aくらいと思う。終了点は灌木にスリングで構築する。上部は浮石も多いので、登る前にクリーニングとチョックストーンの状態を確認した方が良い。万人むけではないが、名作「コブラツイスト」の前菜くらいにはなるだろうか。
その後は地下1Fへ移動し、ここで唯一宿題の「ジャムマントル」を楽しんだ。このルートも面白いルートだ。「ミルクT…」で力を使い果たしたので、TRでの練習。カリメロは「私はこれさ」と言いながらレイダウン足先行でスタート、器用に体を反転させて足が地面に着陸したら終わり。獲得高度は0だけど岩の楽しみ方は人それぞれ。私はあんな事ようしません。順番に登ったら時間もかなりおそくなってしまった。
急いで片付けて岩場を後にした。対岸の国見尾根方面を望むと、タムシバの白い花が緑に染まり始めた山肌に鮮やかだった。「私が魔法使いだったら、花を鳥に変えて飛ばしてみるのに……」などと夢想していると、なにしとんねん、このおっさんとカリメロが白い目で私を見ていた。タムシバより白いお目目でした。
駐車場に戻ると、沢山あった車も数台しか残っていなかった。ジムトレも勉強になるけど、やはり自然の岩は楽しい。100%の満足を得られ事は少ないけど、それでも楽しめるかは自分次第。
途中で手折ったクロモジの香りに浸りながら満足して帰路についた。

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