シューズきゅっきゅっ ドラゴン道場

 

 悪天候続きでお山は、どんより雨雲の中。隣県は晴れているとの鬼トモ先輩の情報に一縷の望みをかけてドラゴン道場へ向かった。

 現地は晴れで良い天気だったが、岩はジットリと赤黒く濡れていた。以前の雨の影響があるのだろうか、風の抜けない地形なので致し方なし。あとこの時期おなじみの蚊の集団が歓迎してくれた。

 今日は岩を登れるだけでもラッキーハッピーなので贅沢は言っていられません。まず簡単なルートを1本登って一息ついた。

 他に登れそうなのはクラックだけだったが、別パーティの方たちが登る気配だったので、アルピニストの岩へ移動した。

 アルピニストの岩は、下の岩より乾いているがベストとはほど遠い状況だった。またまた贅沢は言ってられません。一番右端に出来ていた新しいボルトラインをテンションかけまくりで上に抜けて、TRをセットした。岩の天辺でも蚊の集団が歓迎してくれた。先輩もデコを刺されたらしく嘆き悲しんでいた。




 今日の状況で無理にリードしても面白くないので、TRで右端のラインと「アルピニスト」を先輩と交互に登った。




 小さい岩を2名でぐるぐる回すと疲労もすぐに溜まってくる。休もうにも蚊が寄ってくるのでゆっくり出来ない。気温も29°で湿度もMAX。

 そうこうするうちに、先輩の足が悲鳴をあげ始めた。シューズがきつくて足指が痛いらしい。「靴がきゅっきゅっなんやな」と私が問うと、「きゅっきゅってどういう意味ですか」との返す問。シューズがタイトできつすぎる意味だと答えると「???そんな言葉は初めて聞いた」と驚かれた。おかしいな全国共通語だと思っていたのに・・。

 昼過ぎから風が吹き込む様になってきた。岩も朝とは違い乾燥して白くなってきたが、体力気力が回復する事はなかった。

 こんな日は早めにあがることにした。帰りはいつもと違い、山を上に登り登山道に出て帰った。眼下の田園は、ほぼ金色。道路に下りると稲穂が頭を垂れていた。今は収穫の季節だ。

 帰りの車中、先輩が一言。「四季は巡り、来年の今頃も同じようなルートを登って、同じような出来だったら悲しいすね」

 大丈夫、経験で思うに間違いなくその通りです。能力の向上は思うに任せず、必死に現状維持に努めるのです。

 出来る事と言えば、稲穂の様に頭を垂れて謙虚に現実を受け止めるだけよ。一粒の収穫さえあれば、クライミング人生は良しとしたい今日この頃。












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