激さむ砦岩 妖怪凍結光線 

 

 土曜日、青天の御在所砦岩へ上がった。今日は久しぶりにカッパ先生と同行だった。

 天気は良かったが、風が強くてとても寒かった。紅葉の季節なので混雑を予想して朝6時に集合した。太陽が昇ってくる瞬間を見つめ1日の始まりを全身に感じた。




 現地につくと岩は乾いてパリパリだった。しかしテーピングなどの準備をしている間に体は冷えてしまった。今日のコンデションなら綿服を持ってくるべきだったと後悔した。先生も私も手持ちの服を着こんで寒さに耐える事しか出来なかった。

 荷物を下ろした砦1Fには簡単なアップルートが無いので、数ある私的本命ルートの中で「雨ニモマケズ」を登る事にした。

 先生のビレーでスタート。簡単な下部クラックも体が動かないので必要以上に緊張してしまった。カム3個入れて高度を上げて1本目のピンにクリップ。核心のムーブにトライしたが、指が冷たくてホールドしている感覚が無い。ヒールフックもなんだかよく分からない。あえなくテンションしてしまった。不甲斐なくカムとヌンチャク残しでロープを引き抜いた。登れば体は温まるが、風が体温を素早く持ち去ってしまう。

 先生は2Fの「三毛猫」でアップした。冷え冷え状態でも先生には簡単すぎるのでは?アップになったのか?

 1Fに戻り「雨ニモマケズ」を再トライした。1回目よりは体が動いたので楽に感じた。核心のムーブもホールドとヒールを信じて何とか乗り越えた。ガバに立ちこんで2ピン目にクリップ。指先の感覚がなくなってしまったが、先生の応援を聴きながら何とか終了点に到達出来た。カムヌン残置だが、私としては良くやった方だと…重い鯛。

 次に先生がトライした。クラックは無問題だったが、核心で嬉恥ずかし敗退してしまった。それでも何とか終了点まで上がるのは流石です。最近は名張の長距離走的なクライミングばかりなので、ボルダチックなムーブやスラブの感覚が鈍っているらしかった。この冬は豊田でボルダーとスラブに打ち込みますと激しく語ってくれました。

 キャメ#5、6を持ってきていたので「ミルクティース」を再度登る事にした。以前ピンクでは登っているがRPをしておきたかった。

 頑張る意気込みはあったが、いざクラックに取付いてみると、いやはやテンションまみれの体たらくだった。ボロボロでチョックストン下まで登ったが、CSを乗り越すムーブが起こせずにロワーダウンした。相変わらずなぜが息が上がるぞこのルート。

 そのまま先生がトライ。ワイド部ではへーとかホーとか感心するテクニックを見せてくれたが、CSを越える個所で悪戦苦闘。残念ながら涙のロワーダウンとなってしまった。

 先生に言われるまで気が付かなかったが、どうやらこのルートは90度以上の傾斜があるみたいだった。確かにロワーダウンすると取付きより1m以上後方に下りてくる。どおりでトライするたび、全力疾走後みたいに、口の中で血の味がすると思っていました。

 グレードも5.9ではなく10abくらいらしい。CSを越えるムーブにも一ひねりあり、迷作の予感がプンプンします。




 昼になると太陽が山陰に隠れてしまった。先生に次ぎ何登りますかと聞くと「私はビレーだけでいいです」と珍しくおしとやかな返答。腰には小さな一反木綿が引っ付いていると思いきや、使い捨てカイロが張り付けてありました。先生は私以上に寒がりだった。「600歳を越えてから寒さに弱くなりました」との事でした。

 風は相変わらず強いし、暖かくなる気配は無かったので、標高を下げて藤内小屋下の岩場へ移動することにした。おじさん二人でシャーベットになっても仕方ありませんから。

 裏道まで戻ると風も無く別世界だった。小屋下岩場はさらにポカポカで、ここは憧れのハワイかと思われる陽気だった。

 この壁には3本のルートが設定されているが、真ん中のラインが一番面白いと思われる。リードするにはちょと難しいのでTRで遊ぶ事にした。




 先生と私とで1本ずつ登ってみたが、先生のルート取りとムーブが正解の様に思えた。私は大して登っていないのに前腕がよれてしまいテンションMaxだった。先生曰く、ワイドを登ると全身が疲れてしまい、その後でフェースなどをやっても丸出駄目男になるそうだ。これから気を付けよう。

 私に用事があるので、15時には片付けて下山した。登山道でルート70先輩や強強お姉さんと偶然遭遇した。一壁周辺も相当寒かった様だった。

 思いのほか寒かった秋の一日。耳をすませばシーンとした冬の足音が聞こえそうだった。

 ただ天候と服装に気を付ければ、まだ岩は登れると思います。残り少ない今季の御在所岩シーズン。どんな記憶を刻めるか、それはあなた次第。














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