中尾根P4 児戯三昧

 

 待っていました青天の週末。藤内壁の神髄を齧りたく、久しぶりに中尾根に向かった。今回も相棒は鬼トモ先輩。歩くのが好きくない先輩だが、面白いルートがあるよと言えば拒否出来ないのが悲しいクライマーの性。

 ゆっくりスタートだと駐車に困ると考え、朝早くから歩き始めた。寝ぼけ眼の藤内小屋常連さんに手を振りテクテクと山道を進んだ。ただ、皆さん考える事は同じで藤内沢入口ではクライマーが数珠つなぎになってしまった。

 ほとんどの方は前尾根に向かった様だったが、バットレス基部から見上げると中尾根P4頭にはクライマーの姿が見えた。朝早くのつもりだったが、考えが甘かった。

 P4取付きには2パーティが準備中だったが、今回私たちの目的は、スーパーソロクライマーさんにより中尾根に新たに拓かれた「フリールート」と、藤内唯一のワイド「狭き門」を登る触る事なのでゆっくりと準備をした。

 1パーティはノーマルを登っていったが、別パーティーの方は「狭き門」のさらに右のクラックを登っていった。これが新しい「フリールート」なのだろうか?そのさらに右にはラインを見いだせなかったので、多分そうだろう。

 先行のリードクライマーが簡単そうに登っていたのと、10aと付けられたグレードからリードで登ってみる事にした。(リードでテラスまで抜けて「狭き門」にTRをセットする目論見だった)

 ノーマルのすぐ右横からスタートしたが、細かくてプロテクションもよろしくない。怖かったので、ノーマルに入り込んでから移動してルートに入り込んだ。少し登るとしっかりとカムもセット出来るようになったが、沁み出しも増えてきた。「狭き門」のハング少し下まで達したがここで諦めた。我ながら流石の低オンサイト能力だ。

 年と共に、恥も気概も髪の毛の様に失せていきつつある私なので、上に回り込んで「狭き門」にTRをセットした。




 瑞牆にワイドクラック講習を受講しにいきやがる先輩(妬みから文章が荒れてしまいました)なのでTRならば「狭き門」も楽勝の様だった。




私はかなり昔一人TRで触った記憶があったが、忘却の彼方なので、初々しく挟まることが出来た。色々と先輩から足の使い方や体の向きなど教えてもらったが、体に沁み込んでいないので四苦八苦だった。

 たまにしか来ないが、ここ中尾根の周辺はとても気分の良い所だ。午後になると他のクライマーの声は少なくなり、光と影に煙る前尾根を眺めながら過ごす時間は贅沢な気持ちにさせてくれる。




 2、3回練習すれば満腹になる。「狭き門」は次回#6を持ってきて頑張ってみよう。

 私は「フリールート」に未練があったので、思わしき場所にロープを固定して観察してみた。そうすると初めに思い込んだのとは違うラインがあった。綺麗にクラックも掃除されていて、ホールドも磨かれた形跡があった。

 !!!!!!こちらか。岩を見る目が甘納豆の10倍くらい甘い。カバとカチを使い「狭き門」右のクラックに入って行く。「狭き門」の下部から合流するよりスッキリとした道筋が見えた。

 恥気概脱毛症の私はためらわずにTRで触ってみた。フットホールドは良いが手が乏しい、細かいホールドを使い立ちこんでいくムーブは花崗岩の面白みの一つ。ただこの個所のプロテクションは細いクラックに取るしかないのだ。私の持っているトーテム黒が辛うじて入る個所があるが、落ちたら抜けそうである。上部クラックは快適だが、疲れた前腕には手ごわかった。

 先輩と1回ずつ登ったらけっこう良い時間になってしまった。一壁には人影はなく、日も傾いてきていた。

 慌てて片付けて、懸垂を交えてバットレス方面に戻ったが、早めにツルムのルンゼに下りてしまい下降が結構渋かった。

 人気のない裏道を歩いていると、疲れがそっと両肩に手を置いてきたのが分かった。藤内小屋では小屋主と常連さんが山を下りる直前だった。「早くから遅くまでご苦労さん」と声をかけてくれた。私がもうちょっと登れるクライマーなら、遅くはならなかっただろうとベンチで休む先輩を見てプチ反省。

 今回はグレード10aのついているルートを2本登ってみたが、両方ともとても厳しかった。先達のクライミングに対する真剣さに頭が下がります。

 山は秋の気配が充満、里もきんもくせいの香りに包まれている。季節は間違いなく過ぎていくが、私のクライミングレベルは何時までも初級者の児戯レベル。何時になったら大人ななクライミングが出来るのやら。

 ため息をつきつつ、晩御飯の栗ご飯を腹いっぱい食べてしまうのでした。

 

(フリールートについてはR&Sの記事をしっかり読んでいませんでした。そもそもスタート地点から間違えていました。狭き門より流入するのではなく、最後に登ったラインが正解だと思います。まだ1P目を触っただけなので2P、3Pと楽しみは沢山です)


 

 








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