ゼロポイント至らず

 

 冬の太陽は放物線を描いて地表に届く。

 日曜日、コロナと大雪の影響でお預けだったクライミングに久しぶりに出かけることが出来た。

 雪の峠道を越え、冷たい水を湛えたダムを横目に隣県へ。木々の枝先は、ほのかに色づきだしており春への準備を進めている様だった。

 Jの岩に到着し簡単な課題でアップをした。次に「ジャッカル」をやってみたがカチホールドを保持する事が出来なかった。10年くらい前は簡単に登る事が出来たのに何たること。しつこくトライしていると指からボキッと音が聞こえたので、そこで止めることにした。トホホだぜ。




 続いて「スナイパー」も登れず。「Jクラック」に至っては離陸すら出来なかった。

 冬木立の合間から日光が注ぐ暖かい日だったので、マットに寝転がっているとついつい寝てしまいそうになる。これではいけないと気持ちを奮い立たせて「ゼロポイント」のある岩へ移動した。

 林道からのアプローチは藪に覆われていたので、「チェッカーフェース」の岩からトラバース道を使った。

 トラバース道はしっかりしていたが、「ゼロ…」の岩上下では踏み跡も消えかかっていた。

 この課題も十年ぶりくらいに触る。細かい事は忘れてしまったが、とりあえず鉄仮面みたいなハング下からスタートした。だがどうもしっくりこない。手と足の位置が微妙で力が入らない。あれこれ考えてみたがどうも私の足が短い様だった。マットを敷いてなら何とかスタート出来そうだったが、今日は1枚しかマットを持ってきていないので下地の岩を使うことにした。(この場合ゼロポイントではなくワンポイントと言うらしい……オールドさん談)






 下地岩を使うとかなり楽になる。何となくインチキくさいがスタート。すっぽ抜けそうなアンダーガバを右手でこらえて左手をサイドホールドに手を伸ばす。微妙な足で体を上げて右手をカンテ状に添える。たしか以前はここで落ちていた記憶があったが、さらに右手を伸ばすとしっかりとカンテをホールド出来た。「おおっ一手進んだ、これはインチキでは無い」と心の声。

 ここから右足をカンテ右に掛けたいのだが、リーチがパツパツでそうは問屋が卸してくれません。おそらく右手で少し上のホールドをキャッチ出来れば違ったムーブもおこせそうだが、のけぞり返った姿勢なので苦しく、思うように動けない。結局何度トライしてもここまでだった。

 残念無念「ワンポイント」すら歯が立たなかったが、一手進んだと思えばめげることもない。私のクライミングは自己満足以外の何物でもないのだ。

 前腕がキリキリと痛んだので15時頃には撤収した。だがその痛みも心地よかった。

 

 今日は久しぶりのクライミングだった。年々弱くなっていく自分を見つめるのは辛いけど、そこからの脱出方法を探すのも楽しいもの。心の解決ムーブは地平線の向こうにあるのだ。マジ~。














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