SORAにトライするつもりで峠の駐車場から歩いた。暑い日になりそうだったが、朝の空気は爽やかだった。
頂上近くになるとシロヤシオの花が見事に咲いていた。黒い土から何故こんな白い花が生まれてくるのだろうか。そして散った白い花はもとの黒い土に戻っていく。
鈴の様に咲き乱れる花に耳を近づけてみても、聞こえてくるのは風の音とカッコウの鳴き声だけ。どこかで鈴の音が聞こえないかと耳を澄ませても花は黙ったままだった。
岩場に到着すると同行の鬼トモ先輩は既に疲労困憊だった。腰膝足首に古傷を持つ先輩にとってこのアプローチは中々大変だと思った。そういう私も慢性的な左腰の痛みから長い歩きが無理になりつつある。身体は老いて枯れていくが、せめて感性だけはみずみずしさを保ちたい。
肝心の岩は先日までの雨でベタベタに濡れていた。お目当てのSORAのクラックも同じく。仕方が無いので、比較的乾いてみえたKUMOに目標を変更した。
こんなこともあろうかと担いできた#5,6もぶら下げて登ってみた。案の定クラックの中はじっとりと濡れていた。ワイド的に登るか外に出て登るか、カムを効かせる位置も悩ましい。奮闘してようやく#5をしっかり効かせる事が出来た。左上クラックで左足を踏ん張ったままだったので、この時点で腰が悲鳴をあげていた。1番はじめに入れたカムのスリング延長をしていなかったのでロープドラックも容易に想像できた。ためらいは一瞬、#5がバチ効きなのをいい事にロワーダウンして小休止を取る事を速攻で決めてしまった。相変わらず戦略もなく弱い心のクライミングだった。
小休止後、ロープは抜かずにそのまま登った。#5から上は快適なハンドサイズのクラック。アハーと喜びもつかの間、テラスに乗り込んでからのトラバースも渋かった。恥も外聞もありませんGINGAのボルトもありがたく使わさせていただいた。SORAのラインに合流してからは既知のルートになるが、ここからも中々難しい。最終ボルトから上は昨年はリードで抜けれなかった箇所だ。額に小さな黒い不安が浮かんだが行くしかない。頭上のホールドを掴んで思い切りひきつけると、思いもかけず目前にガバがあった。
岩塔の天辺は緑色の風が吹いていた。シャープな気持ちがフラットになっていった。
このルート、屈曲があるのでロワーダウンではなくリード&フォローがおすすめ。鬼トモ先輩がフォローでギアを回収しながら登ってくれた。天辺でビレーしていると岩の下からア~と久しぶりに聞く先輩のうめき声。M気質なのだろうか、フットジャムが効きすぎて足残置かと危ぶむところでも顔は笑っていた。クラック部は流石にノーテンで登ってきたが、最終ピンからは苦戦していた。ここはリーチの差が如実に出ると思われます。
ここからはSORAにトップロープをセットしてワーク。午後になってもクラックは濡れていたが、ワイドムーブを使えば比較的楽に登れるらしい(鬼トモ談)。
1回登ったら私はヘロヘロになってしまったので、回収は先輩にまかせた。自分には難しいムーブを納得するまで練習するのは、先輩の真面目さの表れ。飽き性の私にはできません。
帰路も中々の歩きで疲れた身体にはきつい。峠からの下りでは先輩は何回も尻もちをついていた。
思わず登った(何とかはいずりあがった)KUMO。面白いルートだった。クラックが乾いていたら印象は変わると思うが、今回のSORAに合流するラインで10abぐらいだろうか。この岩で一番目につくラインなので、一登の価値はあると思います。
次回の機会には是非SORAをやろう。

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