オガワヤマダオブラダ2

 

 早朝から入山してくる車の音に目が覚めた。テントを張る場所を次回からは少し考えた方がよいかも。

 朝飯を食べて準備をし、テントは残して他の荷物は車に放り込んだ。

 水場で鬼トモ先輩が単独の方から声をかけられたと言う。聞くと相棒が居なくなったのでビレーをお願い出来ないかとの事。

 ご本人に会うととても感じの良い方だった。狙うルートは「イエロークラッシュ」。「ジャックと豆の木」と同じ妹岩だがかなり難しめね。岩場で会う事を約束して一旦別れた。

 昨日勉強したので妹岩までは迷わずアプローチ出来た。早起きの甲斐あって一番乗りだ。

 準備をしていると水場の方も上がってきた。折角なので、私は三重からですと自己紹介をすると水場の方から思わぬ名前が飛び出てきた。「三重だったら鈴鹿に知り合いがいますよ○○さん」 私は驚いた、御在所神様の名前だった。さらに聞くと、水場の方は神様と同じ国際山岳ガイドをされていたとの事。どうりで狙うルートも服装もあか抜けていらっしゃる。水場の方は水神様だったのですね。日本は八百万の神々の国である。

 そうこうするうちに、準備が整ったので先輩が「ジャックと豆の木」へオンサイトトライを開始した。わけあって私はビレーのみよ。

 朝一のアップ無しのトライなのでビレーする手にも力がこもった。先輩、下部で#5を2個きめてハンドクラックへ進入。傾斜は強いが左足を蹴る事が出来るので頑張れる?左のフットホールドが無くなる箇所が核心らしかった。(水上様のお言葉より)

 先輩、息も絶え絶えで頑張ったが、残念ながら核心部分でテンションが入った。しばらく休息した後に再開、その後はテンション無しで終了点まで抜けていった。

 ロワーダウンして取り付きに戻った先輩は出し尽くした様だった。上から目線でよく頑張ったと言いたい。

「ジャックと豆の木」は私にとって曰く付きのルートである。約40年目前にオンサイトトライし、グランドフォールして前歯3本無くした悲しい思い出いっぱい胸いっぱいのクラックだ。

 その後通った歯医者で前歯はお陀仏なので入歯を進められたが、「先生、女の子とチュー出来ないので入歯は止めて」と叫んだ思い出もある。おかげで入歯は止めになり、今でもチュー好き爺でもある。そんなこんなで「ジャックと豆の木」は私には封印ルートになっている?

 岩場は沢山の人で荷物の置き場にもこまるくらいになっていた。水上様は相棒がカムバックしてくれたのでビレーの必要は無くなったらしく、私は美容院に旅経つ先輩と駐車場へ戻った。ここで先輩とはお別れ。朝はガラガラだった駐車場は満杯になっていた。

 テントを撤収し、露に濡れたグランドシートを風に乾かせた。草の上に寝転がり揺れるシートを見れば、目に見えない手がピアノを弾いている様な。

 お次は高級ガイド本を片手に新たな岩場探索をすることにした。目指すは屋根岩1峰東面。本は親切だが、何故だか道迷いをして岩場の右端へ到着した。20から30分の歩きかな。

 この岩場は取り付きが狭い。そして人気もある。ただボルトルートに人気が集中しているようでクラックには誰も取り付いていなかった。一番左端にある「プリンセス」はルート真下に入らないとその全貌は見えないが、楽しそうだ。「花束」もホッソイけど美しかった。たまたま岩場で出会った上手そうな男女ペアに「プリンセス」を猛烈推薦して岩場を後にした。






 スラブの名品「バイシクルダイク」を横目に駐車場に戻り、荷物をチェンジしてボルダリングへ向かった。ボルダートポは申し訳程度しかなかったので、この前見た親指岩下のボルダーで遊ぶことにした。




 ボルダーに到着しマットを下ろすと猛烈な眠気に襲われた。多分一瞬気を失い寝てしまった様で、しばらくして自分のイビキで気が付いた。なんて贅沢な時間なのでしょう。

 ボルダーは簡単そうな課題ばかりやったが何も登れなかった。スローパーも滑る。空を見るといつの間にか雲に覆われていた。保持できないのは鰯系だけでなく湿度が高くなってきたからと言い訳をして車に戻った。

 15時ごろだったが、一人だし道中も長いので帰る事にした。

 雲のかかる山を後にして高原に車を走らせる。涼しい空気の国から暑い空気の街をひたすら目指した。もちろんご機嫌伺いにお土産もゲトしましたよ。ワトソン君。






 





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