ある色彩の日の記録

 

 クマちゃんナオちゃんとクライミング。

 天気は時雨模様で、見た事のない様な太い虹を見ながら県境を越えて岩場へ向かった。当初の目的だった渓谷沿いの岩場は予想通り濡れていてクライミングは出来なかった。




 仕方ないので目的地を変更して里山の岩場へ移動する事にした。道中の紅葉は中々見事でダムの傍らに車を停めて、しばし見とれてしまった。




 到着した里山の岩は幸いにも濡れていなかった。ただし風が抜けるのでちょっと寒い。じっとしている時にはダウンが必要だった。

 とりあえずクマちゃんが一番右端のルートを登ってTRをセットしてくれた。岩が欠けそうで少し怖かったらしい。

 次にナオちゃんがTRで登ったが、何時もの元気がない。動きが緩慢で苦労して終了点まで上がっていた。どうしたのかとよく見ると顔が変だった。寒気で体温を奪われたのか顔面蒼白で、昔テレビで見たバカ殿の様だった。




 クマゴロウからクライミングソックスを奪い取り、私からは綿入りパンツをゲットし、最終兵器の電気で温まるベストを着用して、何とかバカ殿から何時もの芋汁姫に戻ったが、体力が回復せず、本日の彼女のクライミングはここまでとなった。

 靴下を奪われたクマちゃんは「足がちべたい」と言いながらも、果敢にルートにトライしていった。だが「熊鷹」の右にあるラインはかなりの難易度で、流石のクマも苦労していた。ムーブをあれこれ考え、墜落も辞せずにトライする。私ならすぐに弱気日和見になってしまうが、本来のクライミングはこうなのだろうと彼をビレーしながら思った次第。

 結局秘密兵器を投入して終了点へ抜けていった。ロワーダウンしながらあれこれムーブを考えていた。次にトライしたら登るであろう。




 私は一番右のルートをTRで登った後に以前にトライしたルートのRPを目指したが果たせず。ムーブも何もかも忘れてしまっていた。次にトライしたら登るであろう。ほんまか?




 スタート時間が遅かったのでそれぞれ大した本数は登れなかったが、ここからの風景は中々に素晴らしかった。やはりこの世界は美しい。

 クマナオが着用していた電熱ベストはスイッチが青表示で持久力アップ、赤表示で保持力アップの凄くいかがわしいベスト。とても暖かいがタイマーのリミットが過ぎるとその代償に着ている人間が性転換してしまうらしい。ナオ男はまだしもクマ女は果てしなく恐怖である。

 車に戻り足元をみると、黒くくすんだアスファルトに落葉が鮮やかだった。おそらく目に見えない季節の精があちこちを歩いて遊んだその足跡なのかもしれない。




 朝の虹から夕日に輝く山まで、一日で何色を見たか数えておくべきだったか。





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