仕事に、日々の生活にと、あれこれと追われた身体と精神を癒すには自然の中に浸るのが一番。
なので近場の谷でボルダリングとあいなった一日の記憶。
この川は初級沢登りで有名だが適度にテキトーにボルダーが転がっている。
アプローチの林道は荒廃が進み、あと何十年かすると無くなるかもしれない。15分くらいの歩きと二人には伝えてあったが、その倍は歩かせてしまった。相すいません。
場所を迷ったが、アオダモの白い花の下に岩はあった。
「石谷入門」は名前と裏腹にとても厳しい課題。激務&激務で最近の記憶が飛んでいるクマちゃんだが、私が目を離した一瞬にあっさり登ってしまった。脳はどこかへ置き去りにしていても筋肉は今そこにあるのだね。
カチ好きのナオミン。ただこの様な飛びつき系は苦手らしく、涙を鼻から垂らして悔しがっていた。
私はもちろん登れませんでした。
お次はその隣にあるスラブにトライ。クマナオが全力で苔落としに精を出す中で、私は久しぶりに会う渓谷の岩達に挨拶をして回った。古い友人に会うような気分だった。
今日の岩の状態では、スラブのシットスタートは流石のクマちゃんでも難しいので立ちでのスタートムーブを探る事になった。
このホールドあのホールドと使えそうな結晶をセレクト、あの苔その苔と剥がして窪みをチョイス。そのうちにクマちゃんが良いポジションを見つけてヌメヌメのスラブを登り切った。「岩の状態が悪いので無理に完登しなくても良いよ」と準備をするナオミンに言葉をかける優しい筋肉漢だった。
ナオミンの1回目トライは惜しい所までいったが、スリップで完登は逃してしまった。
お次は私。ナオミンが私の為に岩の天辺を掃除してくれた。そしてクマちゃんが下からアシストの万全サポート体制だ。いわゆる24時間介護だぞこれは。おじさん登る前から感激だ。
右手細かく窪んだカチ、左手はフアットなピンチで離陸、左足をフットホールドに乗せ、右足で離れたホールドをキャッチ。左手をプッシュに切り替え、右足で堪えながら、左足をを左手横に乗せる。立ち込むと湿り気満載の天端に手が届く。次は簡単なマントルだが、小雨に叩かれた岩肌はヌメリが酷く、足が決まらない。結局、少し岩が白くなった箇所に足を置き岩の天辺にずり上がった。デートを申し込む時ぐらい心臓がドキドキしましたよ、おじさん。
最後はナオミンのセカンドトライ。恩返しとばかり私は岩の天端をデッキブラシで全力掃除した。下からは安定のクマサポートだ。
岩の天辺から見下ろすと意を決したナオミンの顔が分かった。スタート、ムーブに淀みは無い。クマの応援の声が静かに岩に響く。足が上がり、天端に手が届いたが、途端に顔がゆがんだ。そう、食器洗いの途中でスローパーをキャッチした気分だと思われた。が、そこは根性の女。気合でマントルを返して天辺に乗り上げた。喜びと安堵で顔がクシャクシャだったのは否めない。
夕方になったので、荷物を片付けて崩壊林道をテクテクとあるいて下山した。
車に戻るとナオミンの脇腹と靴にヤマヒルが引っ付いていた。幸い吸血はされていなかった。早速、虫よけスプレーで退治しようとした私にナオミンが潤んだ目で訴えかけてきた「血も吸っていないのになんで殺すんですか……」私は絶句した。
そう自然が好きだとか何とか言いながら、私はヒル即殺の考えしかなかった。山ヒルも自然の一部、もう少し大らかな気持ちで山ヒルに向きあおうかな?と潤んだ目を見て考えさせられた。
結局山ヒル二匹は無罪放免となりました。
帰宅後調べてみると、アオダモの花言葉は「幸福な日々」、「未来への憧れ」だった。そうかそんな素敵な言葉を持っている花に見守られながら遊んでいたのか。どおりで楽しい一日だったと、安い芋焼酎でしみじみと乾杯した。







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