雨が止むと同時に秋がいつの間にか傍らに立っていた。そんな気分の風が吹き出した。
休日、野人先輩と藤内へ上がった。途中の藤内小屋では小屋主が外に出てきて、アーダコーダと世間話に花が咲いた。初老の男ばかりでも花が咲くときもある。
P7スラブに荷物を置き準備をした。アップで「蛇の皮」を久しぶり登ったが、アップにちょうど良い感じだった。やはりカムをセットしながら登るクラックは楽しい。
ナムサの終了点へは依然と違うアプローチで上がってみた。P6ノーマルの一番左端凹角を登った。先輩はロープ無しで上ったが、私は上からしっかりと確保してもらった。クライミングから離れているとはいえ、このあたりで自力が出ると思った。
懸垂でTRをセット。夏ほどではないが壁には太陽が当たり暑かった。
1回目の練習ではスタートのスラブに手も足も出ない状態だった。ホールドの持ち方にヒントを得た事がせめてもの救いだった。テンションまみれで終了点まで抜けた。夏の練習と比べても何の進歩も感じられなかった。
今回は先輩も登ってみるとおっしゃったので、交代してみた。スタートで初めは苦労していたが、そのうちに何となく抜けてしまった。ビレーしながら観察していると、私が持てないと判断したホールドを使っていた。確かにあれしかない。
三連休の最終日なので岩場にも人が少なく、静かな藤内壁だった。木陰はTシャツだけだと少し寒く感じるくらいで、シェルを一枚羽織って座っていると数十分ほどうたた寝をしてしまった。
2回目の練習をしようと壁を見ると、いつの間にか岩は日陰になっていた。
ほんの少し条件が変わるだけで、岩と触れ合う感触も変わる。2回目の練習では、持てないと感じていたホールドに指が止まり、そして懸案のスラブを抜けることが出来た。TRとはいえ嬉しかった。ほんの僅かでも前に進むことが出来た。
そのままハング越えまではノーテンで進んだ。ここからのハンドクラックにフットジャムを効かせれば少し休めるが、中々にタフだ。テンションを入れながら登るが、おならを連発して推進力に変えた。ブースターではなくブーシターである。数少ない私の得意技だ。ビレーしている先輩まで聞こえる大音量だったことも付け加えておこう。
クラックが細くなり、水平クラックに切り替わる箇所も難所の一つ。私のムーブではクラックでの足の踏みかえが必要だった。遠いホールドをキャッチしても腕のパンプは回復しない。そこから上部も気の抜ける箇所は無し。最初から最後まで美味しい、スーパーアーモンドグリコ的なルートだゼ。
ロワーダウンで取り付きに戻れば、ヒョロヒョロのエロエロだったが、ほんの少しだけでも進歩を感じてうれしかった。
最後の締めに「ハブチSP」にリードトライしてみたが、指が痙攣してしまい粒を持つ事が出来なかった。&気持ちも負けてしまったので2ピン目で敗退した。ヌンチャクの回収は先輩が懸垂でわざわざ行ってくれた。いつもありがとうございます。
所要の為に早めに下山した。バットレス北面の「オラージュ」辺りにクライマーの姿が見えたが他にはコールの声も聞こえず、静かな岩場を静かに後にした。
今シーズン中にあと何回触れるか分からないが、次回はリードトライをしてみようかと思っている。チャンスは少ないが楽しみながら岩と遊びたい。秋の風の音に心を合わせながら。

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