クマナオと県境を越えてライムストーンの岩場へお邪魔した。標高の高い峠付近の木々は少し色づきはじめた様に見えた。
岩場へ到着。染み出しは無く、今日の石灰岩は白い別嬪さんだった。
クマちゃんは以前よりトライしている難しいルートにロープを張りワークをすると言う。
前傾した角の無いカンテに散らばる悪いホールドをつなぐルートで、ほとんどレストは出来ないらしい。社長業で悩みの多いクマゴロウ、かわいそうなので私の高級ロープを貸してあげた。
私とナオミンはまず5.8のルートを登った。5.8とはいえナイスホールドが少なく、いけずなホールドがメイン。しかも途中の坪庭には草が繁茂し、うっかり踏んだ足が草の汁で滑る滑る。確かこうゆうのをスベルクリン反応と言った遠い昔の記憶が。
テンション沢山で終了点へ抜けた。腕がパンプしましたよアップに最適だわ。
仕事のストレスと秋花粉でテンション低めのナオミンはとりあえずTRでお触り。ロワーダウン時には坪庭の草を抜いて整備に協力。ロープをほどいた後も草抜きスイッチがONした様で、取り付き近辺の草抜きに精を出していた。
クマちゃんは全開のワークでバシバシ落ちまくり。グリグリなので手繰らないとロープはたるんだままだからね。哀れ私の高級ロープはゴム紐みたく伸びまくりだった。
私とナオミンも以前からの宿題ルートにトライした。一応11aのグレードになっているが、もう少し難しいと思いたいそんな素敵なルートだ。
1回目はテンションを入れながらヌン掛けをした。今日の岩は良く乾いていてフリクションも良好。それでも核心のムーブは難しかった。
次にナオミンがリードトライ。下部でテンションが入ったがその他は問題ない登りだった。普段ジムで登りこんでいるのでフェースが上手い。
クマちゃんが激難ルートへの1回目のリードトライをした後、私の2回目のトライとなった。
息を整えて靴底に唾をつけて汚れを取る。偽りの平常心でテイクオフした。気持ちが上ずってしまうのを抑えながらムーブを起こす。核心の下で戸惑う場面があったが、クマちゃんのガンバの掛け声でポケットに右手をねじ込むことが出来た。ナオミンがつけてくれたチョークマークに右足を置くと身体が安定した。左手でクラックホールドをキャッチ。少しあまい感触に戸惑いながら右足を上げ、左つま先をポケットに押し込んだ。そこからガバをつかめば核心は突破だ。
ガバに立ち、息を整えた。最後のトラバースも何気に難しく、手順を間違えるとアウトなので慎重に登った。ナイスなアンダーガバでひきつければ終了点はすぐそこだった。
ロワーダウンしてクマナオとグータッチを2回もしてしまった。久しぶりに登りたいと思ったルートを完登することが出来た。悩みの後に一瞬の喜び。このご褒美が欲しいのか。
次にナオミンの2回目トライ。彼女の頭の中で今日の晩御飯の献立を考えていない事だけはビレーしている私にも分かった。
スタートから澱みのないムーブ。ポッケを取るのもスムーズ。そこからの一手も頑張って出した。壁から体が剥がれることなく順調に高度を上げていった。ガバに立ち、わずかなレストで最後のトラバースに突入していった。何の問題もなく終了点にクリップ。
「イエーイ」
予想通りの完登だった。はじめはスローなブギ気分のナオミンだったが、最後はトップギアに持っていくのが凄いところだ。今日の晩御飯はビフテキでしようか?
「今、波が来ているのか」
ならばとクマちゃんが激難ルートに2回目のトライをした。私は触った事はないが、彼のムーブを見てその難しさはわかった。スタートから厳しそうだ。クマが掴んでいるホールドは多分私では保持出来ないだろう。練習した動きで岩の上を辿っていく姿から彼の鼓動が伝わってきた。ガンバ!
しかし波は静かに引いて行ってしまった。
残念ながら完登ならず。クマはロープにぶら下がっていた。
今日の挑戦は失敗だった。しかし得たものはあるはず。間違いなく次のステップにクマは進むだろう。
帰り道の峠では満車だった車はほとんどいなくなっていた。夕暮れも間近、よく遊んだ。
珍しく収穫のあった本日のクライミング。私にとって年に一回あるかないかのスペシャルデーだった。
スペシャルな日にお付き合いいただいた両名に感謝をしながら、西の空にほうき星を探したが、残念ながら見つけることは出来なかった。そうそうスペシャルな事は起きないようだ。
それも人生かな。




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