里は秋、しかし山は冬の気配に包まれていた。曇り空を見上げ、脳内ラジオでボブディランを流しながら歩を進めた。
今日は、おそらく今シーズン最後になるだろう砦岩へ上がった。今回はナオミンが付き合ってくれた。
最近時雨模様の天気が続いたので、岩の状態を心配していたが、完ぺきに乾いていた。
1階に荷物をおろし準備をした。前回と同様にナオミンは「アペリティフ」の練習、私は「ラストスイーツ」をRPが目的だった。
気温が低くいので防寒の準備をまず行った。私はベストと股引を追加で装着。極端に寒さに弱いナオミンは電熱ベストに羽毛服、羽毛パンツを身に着けた。ただ羽毛服がへたりかけなので、私の羽毛服を強奪して追加でONし、短足のマシュマロマンに変身していた。
クライミングの段取りは「アペリティフ」を私が登って「ラストスイーツ」と兼用のTRをセットするところまでは前回と同じ。
まずTRでナオミンがクラックに挑んだ。ビレーする私は長い戦になると思っていたが、その予想は嬉しくも裏切られてしまった。
前回はナメクジ並みの速度でしか高度を稼ぐことが出来なかった彼女だったが、「ウア」とか「ウェ」とか言いながら着実に登っていくではないか。アレアレ、苦労することなくトップアウトしてしまった。
クラックはほとんど登っていないが、ジムでシコシコ練習してクライミングの基本がしっかり出来ているからだろうか。
女子曰く「私、肩に洋菓子がついているんです」????? 私は「何言ってんだこいつ」と思ったが、よくよく確認すると肩にマドレーヌ状の筋肉がついているとの事だった。失礼な事しか言わない私は、そのうちウィグル獄長の蒙古覇極道みたいなのををぶちかまされるかもしれない。おいら指6本で止める自信なし。
計3本TRでワークしたが最後はカムを入れながら登るまで上達していた。次回はリードを視野にいれてもよさそうだ。頑張ったのでネックウォーマーの中は鼻水とヨダレでグジュグジュになってしまったらしい。
私は「ラストスイーツ」にトライ。1回目のTRワークは岩の冷たさに敗退した。ハングのホールドが冷たすぎて保持感が全くなくなってしまった。2回目は少しましだったが、足を滑らせて脛を強打してしまった。ゴンとお寺の鐘みたいな鈍い音がビレーヤーまで聞こえてきたそうな。
今日は少し早めの下山を目指していたので、最後は私のリードトライで締めさせてもらった。過去にもトライしているがハングを越えることなく敗退している。今回もダメ元気分でやってみた。
スタート、思いのほか身体が動いた。バランシーで手強い下部をスルー、ハング越えも一気に足を上げてクリア。アレ?と自分自身で驚く流れ。がそうそう上手くはいかないのが世の常。小さなカチでつなぐ箇所で指が耐え切れずテンションを入れてしまった。しばらくのレストの後、とりあえずそのまま終了点まで抜けた。結果はワンテンだった。もったいない、いや私としては大幅な進歩だと思いたい。果たしてあのままムーブを続けることが出来るのだろうか。いや面白いルートです。
休憩の合間には、この前見つけたクラックらしきものの偵察に行ってみた。計2本の筋状ラインがあったが、いずれも大幅な掃除が必要に見えた。果たしてそれに見合うだけのものかどうか。うーんマンダムである。
暗くなる前に荷物を片付けて下山した。とりあえず二人とも前進できたので足取りも軽かった。
裏道に出ると「電柱フェース」の前にクライマーがいた。お話をすると右上する課題も登ったとの事だった。世の中に強い方はいるのだなとしみじみと思った。
最後にナオミンの高級高年数長距離走破軽自動車の故障トラブルがあったが、なんとか無事に帰宅できた。そういえば「家に帰るまでが冒険なんですよ」とクマゴロウも言っていたな。
冷たい季節に入った我が裏山。ボルダリングならもう少しいけるか?いや開拓にもチャンスがあるかもしれない。
何時ものことだが、仕事の合間に天気予報と睨めっこする日が続きそうだ。
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