閉じた本と開いた本

  里の桜は散ったけど山の桜はまだ綺麗。色々な木々が芽吹き始め、ほら足元には小さな花が顔を上げている。

 大きなザックを背負って山に上がる季節が今年もやってきた。とても嬉しい。鳥も楽しそうに歌っている。今度はバードコールをもってこよう。

 3K小屋前では御在所神様とおでんリーダーと遭遇した。ナイトボルダーもやっていると話をすると「元気だね~」と呆れ顔で見送ってくれた。

 今日は、先期に砦岩で見つけたかぶったオープンブックにトライするつもりだった。おニューのザックにおニューの登山靴だが、体はかなりお古なので急登が辛い。

 オープンブックの下にたどり着くと岩は今日も汚かった。杖代わりに持参したデッキブラシで岩をこするがあまり美しくはならない。気にしても仕方がないので準備をして岩登りを開始した。可愛いお花を踏まないようにするにも気をつかう。




 いきなりオープンブックは厳しいので、まず隣のクラックを登ってみた。掃除もせずに取りついたので登りずらかった。レイバックだと足が滑りそう、ジャムだとダブルハンドサイズでちょい難。結局レイバック&木登りで解決し、スラブへ抜けて終了点の灌木にたどり着いた。懸垂でカムを回収して、いよいよオープンブックにトライだ。

 下部はクラックが無く、ボロい岩が詰まっている。クラックのサイズはシンハンドから徐々に広がっていくので、いかにクラックにジャムするかがポイントの様な気がする。開脚が180°位できる人ならムーブで解決できそうだが、開脚90°の私には到底無理。ボロい岩にあるキシキシと軋むガバとポケットで手を伸ばすが、クラックには届かない。仕方ないので比較的しっかりした岩溝に0.5番ををセットしてスリングで簡易あぶみを作り、それを使って何とか0.75番をクラックにかませることに成功した。

 しかしそこからも思うようにはいかないのが、私の岩登り。ガバの上にあるポケットで引き付けてクラックにジャムしようと試みるが何とも奈良漬け。気合をいれて飛び出してみたが、みごと失敗し地面に無事着陸した。0.75番は効いているが、ロープソロなので微妙な調整が出来ない。ちょうど山岳保険がきれているのであまり無理はしないことにした。

 ほんの3mぐらいの岩だが今日の私には扉を開いてはくれなかった。




 オープンブックの上には「ヒップスラブ」?がある。これも先期にトップロープで遊んだライン。クライミング自体は簡単だが、プロテクションが得難い記憶があった。ただ加速度的に記憶が薄れてしまうのが老化のなせる業。何とかなると思い登る事にした。

 灌木をアンカーにテイクオフ。少し登り、木でランニングを取る。そこからスラブを見上げるとクラックがとても遠く、しかも濡れているではありませんか。途中に顕著な縦ホールドがあるのでそこまで登ってみたが、濡れた縦カチに立ちこめばクラックに手が届くという親切設計だと思われた。昨年に触っておきながら肝心なことを覚えていない我が頭脳。しかもクラックに落ち葉や土が詰まっているワヨ。あそこで落ちたら多分アンカー下まで転がり落ちる事は必至。「いや~保険がきれているしな~」と本日2度目の言い訳を自分自身にして止めておくことにした。多分心の強い人ならばなんてこともないのだろうが、鰯並みのマイハートでは下痢瑠璃無理の三段活用です。ナッツキーを咥えながらのロープソロなんてカッコいいけどな。今度トライするときはクラック掃除してからだね。ちなみにクライムダウンもビビりました。




 その後は探索で見つけた岩3か所を再度調査してみたが、全てダメ男君だった。




 今のところ砦岩で開拓遊びが出来そうなのは、オープンブックと「ムーンシャドウ」の右隣くらいかな。あと「ラストスイーツ」の2P目もボルトは残っているのでハンガーを着ければ挑戦出来そうだ。


 花粉の影響で垂れる鼻水をすすりながら下山。道路横の擁壁上に小さなタラノ木を見つけた。




 もう少し暖かくなったら久しぶりに前尾根の宿題にも足を運んでみよう。嗚呼今から腰が軋む音が聞こえます。

 









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