高い山は雪の季節となってきた。黄色紅色のカーテンもいよいよ山のふもとまで降りてきた。秋と冬の僅かなはざかい、乾いた風が山を吹き渡り岩登りには最適な季節だ。
いつもより少し早起きして藤内小屋へ上がった。ナベッチ、まっちゃん、タケさんとの待ち合わせ時間前にボルダリングで軽くアップした。ドメゾンの右は頑張れば登れる感じ。岩にぶら下がり見上げた空は透き通って遠かった。
小屋前ではレジェンドS崎さんとご自身が開拓したルートについて説明を受けた。汚れやすいルートなので整備に手間がかかるらしかった。
そうこうするうちに全員が集合したので砦岩へ出発した。あいかわらずの急登なのでナベッチとまっちゃんは遅れ気味、タケさんはスタスタと歩いていく。歩くの得意系とは知らなかった。
本日も1階で登ることにした。
準備をしているとナベッチが全員にお菓子を配給をしてくれた。何時もの事でありがたいのだが、先週の剣岳登山お土産でキビ団子とはよく分からないセレクトだった。キビ団子と言えば桃太郎。ナベッチが主なので鍋太郎、まっちゃんが雉、タケさんが犬、私が猿といったところかな。団子は食べたら美味しかった。鬼退治は無理なのでビレーでご勘弁下さいウッキッキ。
まずは漢タケさんが先週の続きとばかり「コブラ」にトライした。カムをぶら下げ準備万端でスタートした。が中々身体が上がっていかない。先週の遮二無二さがなく、今日はモジモジ君になっていた。昨日も激風の中尾根でエンジョイした疲労のせいかどうか。ご本人は否定していたが、多分大好きなパンを食べていないからではないだろうか。うーむキビ団子では力が出なかったか。
私も先週の続きで「アイアン」にトライした。ドメゾンボルダーでアップしたのはこのルートの為だった。ムーブは体が覚えているつもりだったがはたして。
スタート。今回はマスターでヌンチャクをかけながら登るので緊張もあったが、アップのおかげか体の動きは悪くなかった。細かい筋肉が歯車となって登っていく。2ピン目のクリップホールドで指が悴んできたが、軽くシェィクして振りほどいた。その先のガス持ちも位置が低かったが、何とか修正できた。左手でカンテホールドを掴み足を上げるとガバホールドに手が届いた。慎重に登って終了点に到達した。サンキューキビ団子。
私の尊敬するソロクライマーの方が「アイアンクロー」は良いルートだとおっしゃっていたので、登っておきたいルートの一つだった。短いがカチとバランスが必要な好ルートだと私も思います。いや私ではなくお猿なので猿語でキキーウッキッキキッという感じ。
TRで他の三人も登ったが全員がそれぞれ少しづつムーブが違うのが面白かった。
次にナベッチが「ミルクティース」にリードトライした。自分が見出したルートを他の人が登ってくれるなんて、そこはかとなく嬉しい。
安心安全のまっちゃんビレーで鍋スタート、下部はスムーズに登って行ったがカムセットもあり、息遣いが荒い。そして核心のハング下でもムーブが定まらず悩んでいることが見てわかった。過去のTRではスムーズに登った鍋だったが、リードではそうは問屋が卸してくれないわね。そして力尽きてたまらずテンションとなった。ロープにぶら下がって計略を練るものの、そこから上へは進めずにロワーダウンとなった。
左前腕がいまだかってないぐらいにパンプしてしまった鍋太郎。カム回収も兼ねてもう一度登ると言ってくれたが、ケンシロウの腕みたいに腫れあがった前腕をさすりながら、潤んではいないが潤んだ感じの目で私を見てきた。そう鍋太郎はドライアイ。
あと、登っている時に鍋のヘルメットが後ろにずり下がり、プリンプリン物語のルチ将軍の頭みたいになっていた。何かおかしいと師匠のまっちゃんがチェックするとメットの調整に問題があった様で、直すとシンデレラフィットになった次第。鍋自身何かおかしいと思ってはいたようだった。そう鍋太郎はドライ脳。
ドライアイで見つめられた私、主がダウンの時には家来の出番です。猿行きます、登りますとチェンジすることにした。
とこれが結果的に自分には良かった。ハング下までTR状態で登れたので余力もあり、ハングの乗越でも左手のジャムが僅かに効いたのでここをクリアすることが出来た。数年前にピンクポイントで登れて以来分からなくなっていた核心ムーブを復習する事が出来た。
タケさんは午後から予定があるので下山していった。遅めの昼食を取った後に今度は私が「ミルク」のRPを目指してトライした。
左壁に頭を押さえつけられている様な感じで相変わらずスタートから苦しい。ポケットに立ちこみ#6をセットしてハング下まで少し登ると僅かに休息出来る。チョックストーン下に#0.75を押込みロープをクリップしたら後は行くだけ。
先ほどと同じように、微かに効く左手ハンドジャムを頼りにチョックストーンの天端に手をかけると、フリクション満点の岩が握手してくれるようにホールド出来た。それを頼りにスラブに左足を上げれば苦しい態勢から脱出出来た。あとは慎重にスラブを登って灌木の終了点にロープをクリップした。
どうやら今日は私にとって収穫の日だったみたいだ。「アイアンクロー」だけではなく「ミルクティース」もRPする事が出来た。数年に一度あるかないかの稀有な日。木の間越しの山が美しかった。
私のグレード感では「ミルクティース」は10bくらいだと思う。汚くしんどいがムーブにはそれなりの味があると思いたい。納豆が好きな人ならば喜んでもらえるかな~。
最後に鍋太郎とまっちゃんが「アペリチフ」を登ると言うので一階の左端へ移動した。ここだけは天然林が残るので雰囲気も明るくて気持ちが良い。一人で砦岩に来るのならばここか「ラジヲ体操」前のテラスでまったりするのがベストだ。
私のセンスの無さで1ピン目ボルト位置が高いので、それだけは私がヌンがけした。はじめは鍋が登る予定だったが、ここでまっちゃんがやる気を出して師匠から登る事になった。鍋曰く「まっちゃんが登る気になるなんて、ハレー彗星を見ることぐらい稀」だそうです。麗しい師弟愛だ。
このルート、まっちゃんなら問題ないグレードだが、クラック内に落ち葉が溜まっており掻き出しながら登る事が必要。果たして雉さんが落ち葉掻きに季節の移ろいを感じてくれただろうか。
最後に鍋太郎が「アペリチフ」を問題なく登ってくれた。カムセットもしっかりとして安定した登りだった。アップするにちょうど良いルートとの感想だった。
まっちゃんがシャモニに用事があるとの事だったので、早めに下山することにした。藤内小屋へ挨拶に少しだけ寄って帰るつもりだったが、その考えは甘かった。鍋太郎の顔の広さのおかげで小屋前滞在30分以上。すっかりばっちり遅くなっての下山となってしまった。
途中でナベッチとまっちゃんが見つけてくれたナメコをゲットした。とても可愛く美しいキノコだった。本日最後の収穫はナメコだった。
お初の天然ナメコはお味噌汁でいただいたが、歯ごたえが抜群でとても美味しかった。
こうして麗しい秋の日は沢山の思い出と共に、薄暮の山向こうにゆっくりと暮れていった。
本日もお付き合いいただいた、御三方とてもありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。








私はルチ将軍、知能指数は1300!
返信削除将軍なので威厳を保ちたいところではありますが、危うくキュンキュンしてしまう程のクライムでお見それ致しました。
また宇宙でお会いしましょうぞ。どうぞ宜しくお願いします。
ルチ将軍から普通のヘルメット姉御に変身出来てよかったです。
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