名張 クラックは難し落ちたピーナッツ

 

 名張でのクライミングは久しぶり。

 早朝待ち合わせ場所から見上げる月は、雲に隠れながらも美しかった。




 ここでナベッチとまっちゃんと合流して一路名張へ。車中は恒例の鍋劇場で朝から腹の皮がよじれた。

 現地駐車場に到着すると、とても寒くて準備する手も悴んだ。今日ご一緒する磯野ッチとはお初なのでここでご挨拶。

 車の中でテーピングをすると言うまっちゃんを残し、川を渡渉して屏風岩へ向かった。

 ミニラ前に荷物を下ろして準備をして、まずは「クラックベイビー」を登った。岩は良く乾いておりジャムする手から快楽の信号が伝わってきた。脳汁が出そうだ。




 アップにはちょうど良いルートなのでTRをセットして全員で登った。まっちゃんだけは「名張入門」で奮闘した。




 そうこうするうちに岩場はクライマーで一杯になった。屏風岩は人気の岩場だ。

 磯野ッチは「マシュマロマン」狙いなので、とりえずそちらへ移動した。先に登っているクライマーを待つ間に、隣にある「三ババ」が面白そうなのでワイド好きのナベッチに勧めてみると「登ります」の一言で返答してきた。

 取り付きで準備していると、マイちゃんがルートについてアドバイスをくれた。マイちゃんとは数年前の桐生辻以来。岩場にもベイビーを連れてくるタフなママになっていた。

 「三ババ」は長いルートなのでカム満載でナベッチがトライした。木をまたいでクラックに入り込むが始めからかなり難しそう。そのうち「ウ~ウ~」と苦しそうな声が聞こえてきた。サイズがナベッチにはとても悪いらしい。それどもテンションを交えながら上へと登って行った。ただこのルートは長いために一難去ってまた一難。「まだある~」と悲鳴も聞こえてきた。下からが良く分からないかったが、ワイドサイズのクラックが続くらしい。

 ロワーダウンしてカムの回収補充や、ズラッシングも交えながら何とか懸命に高度を稼ぎ、長い奮闘の末ナベッチようやく終了点に到着した。そしてヘロヘロになってロワーダウンしてきたナベッチは白い灰になっていた。よく頑張ったと思う。

 その後、TRで私も「三ババ」を登らせてもらったが大変なルートだった。オンサイトトライした鍋は偉い。




 鍋のビレー中に離れた場所から「ガンバー」のエールが聞こえてきた。そちらを見ると「いかさま師」にトライしているA子さんへの応援だった。気合声連発で難ルートを登っていく姿はカッコよかった。そして見事RPされていた。凄いなと思った。

 私とナベッチが「三ババ」で悪戦苦闘している間に、磯野ッチは無事に「マシュマロマン」をRPしていた。自信がないような事を言っていたが、普段瑞浪の岩場で登りこんでいるので、そこはそれ、決めるところはちゃんと決める男だった。




 気が付けば、時間は昼を回っていたので、速攻で昼飯を掻き込み午後の部へと移った。

 今回私は「ピーナッツ」を狙っていた。数年前にトライしてケチョンケチョンにしてやられたルートだった。見かけは悪いが内容も渋い。

 ルートの場所へ移動すると、ジャミング紳士O藪氏と単独忍者氏が「ピーナッツ」の左横に新ルートを開拓されていた。グレードは11cとかその辺りらしい。とても難しい事だけは分かる。少し話をすると、お二人とも「ピーナッツ」を登るのにナッツは使わないとの事だった。人によってギアも登り方も違うのがクラックの面白いところだ。私の前にO藪氏が「ピーナッツ」をものすごく簡単そうに登っているのを見ることが出来た。あっという間の出来事だった。

 凄いなと感嘆の声の後、メットを被りなおし、自分のクライミングを開始した。下部は苔が多いが比較的簡単だ。だが核心の凹角は苦しくてつるつるしてフリクションが悪い。凹に入る前に奥のシンクラックにストッパー#1#2をセットしたが、セットする行為で腕が疲れた。しかも小型なので気休めにしかならない。少しだけ高度を稼いでキャメ#1を広がったクラックにセットしたが、体勢が悪いので効きはイマイチか。乳酸の溜まった左手のジャムと甘いカンテを右手でつかみ体を引き上げた。凹角の上はシンハンドサイズに見えた。右足をカンテに上げて左手をシンハンドに移す途中で足が抜けたか、体勢を崩したかどうか、気が付けば体が宙に舞っていた。キャメ#1は抜けてストッパー#2が墜落を止めてくれていた。気休めと思ったナッツはしっかりと仕事をしてくれた。




 情けないが気力が切れてしまったので、終了点までの抜けを磯野ッチにバトンタッチした。すまぬ磯野ッチ。

 根性とテクを駆使して終了点まで磯野ッチが抜けて、ナッツなどを全て回収してくれた。その時点で15時過ぎだった。

 今日はナベッチはバイトの日。仕事場へ直行出来るようにユニホームまで持参してきているのが、あまり遅くまでは遊べない。

 そんなこんなで本日の締めはナベッチの「ミニラ」リードトライとなった。

 このルートも過去にTRで登ったことがあるが、全く歯が立たなかった記憶しかない。だが今日ご一緒している皆さんはそう難しくないと口をそろえて言う。

 その言葉通りナベッチの登りは全く危なげなかった。特に上部はクラック内部に体がすっぽりと入り込むことが出来るので猶更であった。瞬く間に終了点に到達してロワーダウンして降りてきた。ナベッチも本日の目的を達成した。お見事だった。




 樹林帯の岩場は薄暗くなってくると老眼には厳しい。まだ登る他の方に挨拶をしながら岩場を後にした。駐車場に戻っても岩場からはクライマーの掛け声が聞こえてきた。




 帰りの車中も鍋劇場で大笑い。話が絶えないのは良いけど、運転している鍋と後部席の私の目が合うのはどういうことなのか。頼むから前を見て運転してくださいと心の底から思った。あとフリースの袖で鼻水を拭くのは止めた方がよろしいかと思ったりもします。「大丈夫洗濯するから~」と本人はおっしゃっていたが、多分次に会う時には袖はテカテカに輝いているのではないだろうか。

 自分の目的を達成できなかったが、沢山刺激をもらえたので今日も貴重な一日となった。クラックを鍛えるならば名張が一番であることを再確認した。

 私、ちょうど還暦となったが、まだまだネジを巻いて前に進みたい。あっ前ではなく上ですね一応クライマーなので。

 何時ものことながら、お粗末な文章にお付き合いいただきありがとうございました。

 








 

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