里の桜は散ってしまったが、山の桜はまだ可憐な花をつけていてくれた。何処かの知らない山では今年も狸や狐が花見をしているだろうか。
スカイラインも開通し、朝早くから登山者やクライマーの車で駐車場は賑わっていた。私も約束の時間より早く歩き出して秘蜜の岩場へと向かった。足は重いが心は軽い。
今日は「レインドロップ」をリードトライする予定だった。登りながらカムをセットする事は私では不可能なので、フィクスを使いながらカムをプリセットした。雨の影響はなく岩は良く乾いていた。昨日の暑さはどこへやら、風が強くて寒さを感じるくらいだった。
作業をしているとパールさんとナベッチ、まっちゃんが現場へ到着した。皆さん思ったより寒くてびっくりしていた。
まずアップ代わりに「レインドロップ」をTRで触ってみたが、強度が高すぎてアップにならなかった。何時もの様に散々ボロボロ。
他の三人も楽しんでくれていた様子。このルートを初めて触るまっちゃんは、途中で「下ります」と何度か言っていたが、姫二名の茶黄色い声援を受けて何とか終了点へ抜けていた。
ナベッチは前回よりかなりムーブが洗練されていたし、パールさんは上手にジャムを決めて登っていた。全員がそれぞれムーブが違うのがとても面白かった。
TRで2回アップした後にリードを試みた。髪の毛フサフサ羨ましいまっちゃんの安心安全ビレーでテイクオフ。
言うまでもないが、TRとリードでは気持ちも勝手も違う。ジャムが効かない、ホールドは持てない、女性にもモテない、目の前のカムのささやき声に負ける我が心。ムンずとカムを掴んでテンションの雨あられで何とか終了点へ抜けた。
過去にリードトライした時に離陸もおぼつかなかった事から比べると、少しは前進できただろうか。いや道具が良くなったそのおかげかな~。トーテムありがとう。それでもスモールカムだと辛うじて結晶で止まっている可能性もあるので抜けないかとヒヤヒヤした。懲りずにまたトライしよう。
「ブートキャンプ」も周辺を与作的整備したのでみんなで楽しんだ。次はリードかと言いながら今回もTRです。私はカムセットをしながら、他の三名はルート後ろにあるお助けツリーを使わないムーブを模索した。
「ゼーハーゼーハー」と喘ぎ声が出る奮闘的なこのクラック。全員でこれまたコテンパンにされて昼飯の時間となった。デザートにナベッチが冷凍杏仁豆腐を持ってきてくれていた。昨日の瑞浪はとても暑かったけど今日のこの寒さでは食べれないよねとガッカリ気味に話していたが、「ブートキャンプ」で火照った体にはちょうど良い具合で、美味しくいただく事が出来ました。アザース。
「ブートキャンプ」はクラックのサイズ変化も激しく尚且つジャムポイントとカムセットポイントが重複しそうでリードとなるとかなり難しいと思われる。次、いや次の次くらいにはリードしてみましょうかね。
午後のラストにナベッチが「アカヤシオ」をトライして無事にRPをしていた。今回はズッコケ無し脱ドリフで登れたそうである。パールさんに教えてもらったスローな動きを意識したそうだ。人生、急加速急ハンドル急ブレーキが身上のナベッチ、おそらく精神的にかなり無理なムーブでこなしたのではないだろうか。
このスラブルートは諸事情から岩塔の一部分を登るだけの短いルートとしているが、どう考えても天辺まで抜けるのが正解だ。しかも岩の途中に一輪だけアカヤシオが咲いているではありませんか。これは岩のお導きかはたまた単なる偶然か。どうやって開拓するか、アースルカコースルカロースハムカ、ウムウムと、新たな楽しみを小さな花が与えてくれた。
下山は何時もと違い中道から。岩場では少しだけだったツツジ類の花もあちこちに見ることが出来た。紅色の色彩が疲れた身体に染み入りました。
花咲じいさんと言う昔話があった。子供の頃は話を聞いても、何事も欲張ってはいけないのね、ぐらいにしか思わなかったけれど、今は違う。花を咲かせる能力があるとは、なんて素敵なのだろうか。願わくば世界中全てに少しずつでも花を咲かせる事が出来れば。などと頭の中に花を咲かせて歩くじじい、我一人だった。








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