山の日は風の日だった。ナベッチとまっちゃんとパールさんで中尾根に向かったが、予想外の強い風が吹いており、場所を変えて風あたりの弱い「モンキーバック」で遊んだ。私は肩を痛めているので今回はTRオンリー。久しぶりに登ってみるとやはり簡単ではなかった。短いがピリッと締まった良いルートである事は間違いない。
ナベッチは何時もの根性登り、パールさんはノーテン、まっちゃんも過去最高の出来具合と山の日の恵は全員に降り注いでくれた。
今日の藤内壁はクライマーの数も少なく静かな岩場だった。バットレスを登るタケさんとM田さんペアのコールが耳に心地よく響いていた。
全員で2回登ると時間が経つのもあっという間の為五郎。「モンキーフェース」の取り付きでランチタイムで和んだ。ナベッチとパールさんからは美味しい差し入れもいただき、お腹も心も満腹になった。会話の中で出てきたが、「すっぽん小町」に手を出してしまったどこかの誰かさんは歩荷トレのやりすぎだと思います。
次に中尾根P4取り付きに降りて登るルートを探した。スーパーソロクライマーO平さんの新ルートはまだ未完成の様だったので、過去に発表されている「フリールート」の1P目と古の名ルート「狭き門」にTRをセットして遊んだ。人間ラジオのナベッチが一人いるだけでも賑やかなのに、バットレスからタケさんとM田さん達も合流してワイワイガヤガヤと普段クライマーが取り付かないルートも大人気ルートの様相となった。
M田さんは両ルートともとても素晴らしいと大絶賛。そして「狭き門」のワイドクラックを歩く様に登っていったのには驚いた。さすが瑞浪で鍛えているクライマーだ。
P4取り付きからの撤収は時間がかかるので、支点回収の為に先に終了点に回り込んだ。ロープが2本もあるので結構な労力になるはずだったが、ナベッチが手伝ってくれて大助かりだった。これもまっちゃん師匠の薫陶のおかげだと思われる。
ここでちょっとした反省事項があった。「狭き門」にセットしたロープがルートの途中にひっかかってしまい回収困難になってしまった。結局ロープを大きくあおって回収は出来たが、上がってきたロープを見ると末端はフリーで、長さが少し違っていた。この時に私は様子を見るためにこのロープで懸垂下降を行おうとしていたのだが、あのまま懸垂をしていたら途中ですっぽ抜けをし、少し墜落していたかもしれなかった。確かに上に引き抜く為に末端はフリーが正解、ただ長さが違ってしまうことまで想像できなかった。風で全くコールも聞こえず時間も遅くなり気がせいていたこともあったが、もう1本のロープで下降するなどの考えが浮かばなかった。未熟です。
そんなこんなで全員で下山。藤内小屋で暇そうな小屋主とダベってから車まで戻った。
台風の影響かとても風の強かった一日だった。過去には晩夏の開拓作業中に、汗で濡れた体が強い風で冷えてしまい、指先が痺れてしまった経験もあった。山で遊ぶ人ならだれでもそうだろが、私には風にある種の恐怖心がある。
そんな怖い存在でもあるが、風が吹けば岩を乾かしてくれ、雲も動かしてくれる。また頬を撫でる風は心も動かしてくれる。単に大気圧の勾配で生まれる空気の移動だけでないと感じてしまう私もいる。
星野道夫氏は著書で「風は信じがたいほど柔らかい真の化石」と記している。
風の強い日は古い物語に包まれながら岩を噛む。だから山の岩登りは素敵なのかもしれない。





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