御在所女神を砦岩へ案内するの巻

 

 夜になるとすっかりと秋の虫の声が聞こえる。しかしまだ暑い日ばかりで、週末は悪天候が続く。それでも岩を求める変人は少なくはない。今日も重いザックの片隅に小さな夢を詰め込んで岩を目指した。

 日曜日、藤内小屋で何時ものナベッチ、パールさん、まっちゃん、タケさん、ハトちゃんと御在所女神のA子さんチーム4名と合流した。そう今回はA子さんチームに砦岩をご案内するのが目的の一つでもあったのです。うーんちょっと緊張するわ。




 ジャンダルマ、1階、2階とA子さん達に説明しながら岩場を巡った。なかでも「コブラツイスト」に皆さん興味を持たれた様だった。そりゃ昨日も灼熱の名張で登っているくらいのクラックフリークばかり。うなずける反応だった。

 まず一番岩の乾いている2階に荷物を下ろして登る事にした。私たちの他に他県からのクライマー2名、AACの方が整備に1名みえて岩場はかなりの人口密度になってしまった。他県の方には居心地の悪い思いをさせてしまったかもしれない。




 A子さんチームは「レッツゴークライミング」へ。私は「ジャンプ」、ナベッチは「洞窟クラック」へ取り付いた。

 雨の影響が残り「ジャンプ」下部はヌルメッテ非常に怖かった。簡単なフェースだが1回テンションをして上部スラブへ抜けたが、言わずもがなスラブもとても悪くてクイックドローを掴みたくって終了点に何とか到着した。終了点のボルトも1個はダメになっているので、少し下のクラックにカムでバックアップを取った。このカムはパールさんからの借り物トーテムだった。万が一、カムを紛失破損したら問答無用で「倍返しをするのよ」と恐ろしい約束をパールさんとしてしまったが、「倍返し」とは少し古いセリフではないでしょうか。

 ナベッチはピーピー言いながらも何時もの火の玉クライミングで「洞窟クラック」を見事RPしていた。完登の挨拶はグータッチ&ボインはないけどボインタッチでFinです。このクラックは短いが、陰から陽へと雰囲気が変わって楽しいルートだと思います。




 A子さんチームは状態の悪い岩でも果敢にリードクライミングで挑み「上昇気流」「砦クラック」など2階の目ぼしいルートで楽しんでいた。




 私は「ブルースカイ」と「レッツゴークライミング」をTRで遊ばせてもらったが、滑ったカチは持てない、ムーブは読み解けないと散々だった。「レッゴー…」はとても5.9とは思えない難しさ。初見なら10bくらいに感じるのではないでしょうか。それでもタケさんはこのルートを見事RPしていた。やはり凄いタケちゃんである。

 パールさんも「レッツゴー…」をリードでトライ。惜しくもテンションが入ったが登り切ったとのお話だった。トーテム倍返しのパールは伊達ではない。

 A子さんチームには2名お初の方がみえたが、そのうち極度に変態の方でYしきさんと言う猛者がいた。このYしきさんが「コブラツイスト」にオンサイトトライをした。過去には凄いタケちゃんをズタボロにしたこのクラック、どの様に挑むのか生唾ゴックンのシーンが目の前に。

 スタートはハンドも効くがそこから極端に広がっていくクラック、手でリービをしても傾斜が強く被っているので膝を決めない限り手を解除できない。Yしきさん手を尽くしたがクラックにコブラツイストを決められてしまった。強度が高いので身体への負担も大きい。クライマーと岩がつくる一期一会の時間。今回はテンションで終わってしまった。




 その後もA子さんチームであれこれとこのクラックをトライしたようで、それぞれ何らかの感触を得た様だった。この方達ならばそのうち登ってしまうと思います。

 私の今日の目的のもう一つは「インディアンサマー」のトラッド化だった。かなり昔にカムだけで登った話を聞いたことがあり、自分が登った感触でもボルトレスは可能だと思っていた。「コブラ…」の見学に後にビレーをお願いしてトライしてみた。

 キャメ#3をセットしスタート。目の高さのテラスに這い上がるムーブが一番苦しいがここは問題なかった。そしてもう一つ上のテラスに立ちこむ為に、右手でホールドしているフィンガークラックにマスターカム黄色を入れるのだが、ここで思わず消耗してしまった。岩がヌルヌルでバランスが心もとなく、クラックをのぞき込みながらカムセットが出来なかった。苦労してセットし、左上にあるかかりの悪いホールドでマッチ、大きなフレークを持ちテラスに立ちこむことが出来たが、この時点で前腕に疲労を感じた。ロープの流れを考え、このフレークに#1をセットしたが衝撃を与えると岩がもげそうで怖い。そこから身を乗り出し、左側に走るしっかりしたクラックにキャメ#0.75をセットすると安心できる。少し登り更に#2をセットしたがこのカムをスリングで延長させる余裕がなかった。頭上のガバフレークを保持して体を右に移動させてテラスに立ったが、この時点で今回の試みの失敗を確信した。ロープは流れない、岩は滑る、腕はパンプ、そしてここで落ちるとちょっと怖い。目の前のボルトにクリップすれば全ては解決する。アウ~クリップ…です。

 クライミングの良いところは、自分の弱さを見つめる事だと個人的に思う。今回もばっちり見つめて感じてしましました。




 このルート、おそらくボルトを使った場合よりカムで登ると1グレードくらいアップで面白さもアップすると思います。ただ2階の中ではちょっと乾きが悪いのが玉に瑕です。

 最後に「山猫」を登るA子さんチームを岩場に残し先に藤内小屋まで下山した。

 こんな天気でも岩を登るのかと、小屋主の呆れ顔を見るのが何時もながらとても楽しかった。




 砦岩は初級中級ルートしかなく、強者ぞろいのA子さんチームには物足らないかと危惧したが、そこそこ楽しんでもらえた様だった。ひょっとすると新しいトポにも掲載される可能性も無きにしも非ず。不遇の岩場に光が射す時が来るかな?


 スイスのチョコレートはとても美味しく異国の香りがしました。お付き合いいただいた皆様お疲れさまでした。











コメント